経理代行

消費税における非課税と不課税の違いについて

消費税とは平成元年に3%の税率で導入され、平成9年に5%、平成26年に8%、令和元年に10%と増税してきました。

消費税は、高齢化社会である日本にとって、広い世代へ課税出来る仕組みであることから、現役世代と高齢者との公平が保たれている税金です。

一般消費者が消費税の負担者ではありますが、消費税の納税義務者は法人や個人事業主などであり、この納税義務者が消費者に対して売り上げた資産や役務提供に対してかかった消費税を一時的に預かって、税務署へ納税します。                           

消費税の納税義務者とは

ここでは、実際に消費税を納付するにあたり、どのように納付税額が算定されるのか、そもそも消費税を納付する必要がある納税義務者とはどういった人なのかを解説したいと思います。

納付税額の算定方法



消費税の納付税額は、売上に係る消費税から、仕入れなどの費用に係る消費税を差し引いた残額が税務署へ納付すべき税額となります。

法人税や所得税の場合には、収入から費用を差し引いた利益や所得に対して納付税額を算定するのに対して、消費税の場合には、売上高に税率を乗じて算定した売上に係る消費税額から、仕入高に税率を乗じて算定した経費に係る消費税を差し引いた残額が納付税額となります。

納税義務者の判定                                             

消費税を納める事業者はいくつかの要件に該当している場合には、消費税の納税義務者となり、消費税を納める義務が発生します。

消費税の納税義務判定は、2事業年度前の課税売上高が1,000万円を超えている場合は、納税義務者に該当します。

2事業年度前の期間のことを基準期間といい、消費税納税義務者の判定は、この基準期間が重要になります。

なお、納税義務者か否かの判定は、基準期間における課税売上高を最初に確認し1,000万円以下である場合には、そのほかにも前事業年度開始の日から6ヵ月までの期間における課税売上高が1,000万円を超えているかもしくは支払った給料の金額が1,000万円を超えているかなども考慮して、納税義務者に該当するかどうかを最終的に決めます。

その他にも、期首の資本金が1,000万円以上の法人の場合なども納税義務者に該当しますので、注意が必要です。

納税義務者かどうかの判定は上記の方法から行い、複雑な検討が必要なので注意が必要です。

消費税の課税対象とは       

消費税の納税を考えるにあたっては上述した納税義務者に該当するかどうかが重要となりますが、次に取引自体に消費税がかかるのかどうかを判断する必要があります。

下記4つの要件を全て満たした場合には、消費税の課税対象となる取引であると判断できます。

国内取引かどうか                                     

1つめの要件は、取引が国内で行われているかどうかという点です。

通常、私たちが商品の購入やサービス提供を受ける場所は国内がほとんどかと思います。

国外において商品の購入などをしていない限り、多くは国内での取引と判断できます。

取引が国内か国外のいずれで行われているのか判定します。

事業性があるかどうか                                     

次にその取引が事業性を有しているかという判定になります。

通常、法人は営利を目的としている為、法人が行う取引は全て事業性を有しています。

個人事業主の場合も、業務上における取引であれば事業性を有していることになります。

対価を得ているかどうか                                 

消費税の課税対象として、次に対価を得ているかどうかの判定が必要になります。

これは反対給付があるかどうかということですが、通常はほとんどの取引では対価が発生していると考えられます。

逆に寄付行為などは反対給付がないと考えられます。

資産の譲渡等であるかどうか                                         

最後に資産の譲渡等に該当しているかどうか判定します。

具体的にはその取引が、資産の譲渡や貸付け、役務の提供に該当していれば、資産の譲渡等として課税対象となります。

以上の4要件を満たした場合に、消費税の課税対象取引と判断されます。

ただし、課税対象に該当したので消費税が発生するかというとそうではありません。

このあと解説しますが、この4要件を満たしていても、消費税法上、一定の取引の場合には非課税取引とされるケースもあります。

次に、課税対象外(不課税、以下同様)となる場合と非課税との違いについてご紹介いたします。

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課税対象外となる場合

課税対象外とされる取引がどういったものであるかという点について、上述した4要件のいずれか1つでも満たしていない場合には課税対象外となります。

消費税法上、まず最初に考えることとしては、ある取引が4要件を満たしているかどうかを考えます。

この4要件を1つでも満たしていない場合には、課税対象外となります。

実務において、実際に課税対象外となる取引にはどういった取引が考えられるのか具体例をご紹介いたします。

具体例                                 

消費税法上、課税対象外に該当するものとして、国外取引が挙げられます。

例えば海外出張をした際に、海外での飲食代や交通費などは4要件のうち国内取引に該当しないので、課税対象外の取引となります。

また、株式などを所有している場合に、配当金を受け取った場合でも課税対象外の取引とされます。

配当金の場合には、4要件のうち、何か資産の譲渡や役務提供をしたわけではなく、反対給付を伴うものではないことから課税対象外の取引とされます。

補助金や助成金などを受領した場合でも課税対象外の取引となります。

この場合も、何か反対給付をしたことにより対価を得たわけではないことから、補助金などを受領した場合も課税対象外の取引となります。

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非課税となる場合 

消費税法上、非課税とされる取引にはどういったものが挙げられるのか、また、非課税取引と判断するまでにはどういった過程で非課税取引と判断するかを解説したいと思います。

まずは上述した4要件を満たしていないものが課税対象外であることは前述のとおりですが、非課税取引は4要件を満たしていても社会政策上の配慮などから消費税がかからないものと定められたものが該当します。

非課税取引は消費税法上に限定列挙されており、これらに該当する場合には非課税取引となります。

消費税法上、非課税取引に規定されているものとしては、大きく2つに分類されており、消費になじまないものと、社会政策的な配慮によるものに該当した場合には非課税取引とされます。

それでは次に非課税取引に該当する具体例をご紹介したいと思います。

具体例

消費税法上の非課税取引に該当するものとして、上述した消費になじまないものの代表例としては、預金利息が挙げられます。

預金利息は何か消費したわけではないので、この場合には非課税取引に該当します。

社会政策的な配慮によるものとしては、障害者用の車椅子を売却した場合などが挙げられます。

その他にも実務上、多く見られる非課税取引としては、住宅の貸し付けによる家賃収入、土地の貸し付けによる収入、土地の売却による収入、保険料の支払いなどが挙げられます。

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まとめ                        

以上が消費税法による考え方になります。

消費税で重要なのは、そもそもご自身が納税義務者かどうかを判定することが最初に考えるべき内容になります。

次に消費税の納税義務者に該当する場合には、日々の取引が課税対象取引に該当するかどうか判断が必要になります。

令和5年10月からはインボイス制度も導入される事になる為、実務上、消費税の判定がますます重要になってきます。

この記事が皆様のご参考になれば幸いです。

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