経理業務は日次業務や週次業務など毎日・毎週のようにルーティンワークが続き、月末月初や決算月にはさらに業務量が増えます。経理業務をいかに削減するか悩んでいる経理担当者の方も多いのではないでしょうか。
経理業務を効率化できれば経理課の人間がコア業務に携わりやすくなり、会社全体の生産性向上につながります。
本記事では、経理業務の改善が進まない要因や、具体的な業務改善のアイデア、効率化することのメリットなどを紹介します。
経理業務は効率化できる!効率化が進まない要因は?
経理業務は、企業の各部署のなかでも効率化が進めやすい業務の1つです。その理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 社内で完結する業務が多い
- ルーティンワークが多い
効率化のためには業務フローを変更する必要性が生じることがあります。取引先とやりとりする営業のような部署では先方の承認が必要ですが、自社で完結することが多い経理業務に関しては、フローや仕組みの変更を進めやすいです。
また、ルーティンワークが多いため、一度仕組みを作ってしまえば業務効率化による恩恵を継続して得られます。効率化させるためのツールも多く世の中に出回っているため、自社に合うシステムを選びやすいです。
ただ、実際には経理業務の効率化をうまく進められずに悩む企業も少なくありません。効率化が進まない原因としては、以下の2つが考えられます。
紙で保管する書類が多い
経費の精算や帳簿への記録といった日次業務については、紙の書類を扱うことが多くあります。
紙の書類を保管する際は手作業で行うことになるため、作業が非効率になりがちです。また、一杯になったファイルを保管庫に移動する手間も必要になります。
あとからミスが発覚したり先方から問い合わせがあったりしたときも手作業で膨大なファイルから検索することになり、非効率な業務が続きます。
手作業で行う業務が多い
紙の書類の内容をパソコンに入力するにはどうしても手作業になり、処理に時間がかかります。手作業のボリュームが増えるほどヒューマンエラーも発生しやすくなるでしょう。
ミスが発生すると領収書を1枚ずつ再確認する手間が発生するなど、作業者の業務負担がどんどん大きくなっていきます。
単純な手作業や紙保管から、自動化させたりデジタルデータでの保管に切り替えたりすることが、経理業務の効率化には必要不可欠です。
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経理業務を効率化するアイデア4選
ここからは、経理業務を効率化するアイデアとして、以下の4つをご紹介します。
ショートカットキーの機能を活用する
業務の効率化には、手作業の時間を少しでも短くすることが重要です。パソコンのシステムに経費などの情報を手入力する際、マウスを使ってコピーや貼付けをしている人はショートカットキーへの切り替えをおすすめします。
「Ctrl+●キー」の組み合わせでキーボードを操作すれば、マウスの右クリック⇒クリックの操作よりもスピーディに入力業務を進めることが可能です。
以下に代表的なショートカットキーの機能をまとめてみました。
全選択 | Ctrl+A |
切り取り | Ctrl+X |
コピー | Ctrl+C |
貼付け | Ctrl+V |
元に戻す | Ctrl+Z |
検索 | Ctrl+F |
置換 | Ctrl+H |
上書き保存 | Ctrl+S |
直前の操作 | Ctrl+Y |
経費精算システムで自動化を実現する
手入力の部分を根本的になくしていくには、作業者がExcelに入力する手作業から経費精算システムの導入に切り替えることが有効です。
経費精算システムごとに利用できる機能は異なりますが、例えばスマートフォンでICカードからデータを読み込むことで精算を簡単にしたり、領収書の入力を自動化できたりするシステムがあります。各種帳簿の作成や転記作業を自動化できれば、工数の大幅な削減につながるでしょう。
また、自動化を進めることで人的ミスの発生を防ぐことも可能です。正確な帳簿管理が可能になり、ミスの修正に充てていた時間でコア業務を進めることもできます。
会計システムにそのまま取り込めるデータの形式で保存できれば、決算の際にデータを別ソフトに移行させることも容易です。
経理業務をアウトソーシングする
経理業務は企業にとってのコア業務ではなく、外部に委託することも可能です。経理部門の業務の一部をアウトソーシングすることで、経理の社員も自社のコア業務に関わりやすくなり、生産性が向上します。
アウトソーシングを請け負う企業はさまざまな企業の経理に精通しており、自社の社員と遜色ないクオリティで仕事を進めてくれます。
また、法改正に伴う業務フローの変更に柔軟に対応することも可能です。
また、経理の正社員を雇うと実現が難しい「閑散期は業務量を抑えて人件費を削る」「繁忙時はスポット的に業務を委託する」という業務負担の最適化を実現させられます。
電子帳簿保存法に対応したペーパーレス化を進める
領収書など紙ベースで保管していた書類について、紙から電子データでの保管に切り替えることも経理業務効率化につながります。
電子データでやりとりした書類をそのまま電子データで保存する仕組みを作ることで、インターネット環境とデバイスがあれば仕事が可能です。リモートワークで経理業務を進めることもでき、リモートワーク推進とそれによる従業員満足度の向上にもつながります。
また、封入や開封、ファイリングといった細かな作業が不要になり、作業時間の削減やコストカットにもつながります。
経理業務の全般的な見直しが必要にはなるものの、得られる効果は非常に大きいです。
なお、2022年1月からは電子帳簿保存法の改正によって、電子取引した帳票類について電子データでの保管が義務になっています。紙保管を例外的に認める「宥恕(ゆうじょ)措置」もすでに終了しており、早急に対応が必要です。
電子帳簿保存法の法改正に対応するためにも、ペーパーレス化の推進が急務になっています。
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経理業務を効率化するメリット
経理業務を効率化することで、以下のような3つのメリットがあります。
人的コストを削減してワークライフバランスにもつながる
経理業務は「日次業務」「週次業務」「月次業務」があり、月末月初や決算月の前後は日常業務に加えて月次業務が加わります。特に決算月は日次業務と決算の業務を同時並行でこなすことになり、業務負担が大きくなります。
紙での保管や手書きなどの非効率な方法では労働時間が増えて従業員の負担が増大するだけでなく、生産性の低下にもつながるでしょう。
そのようななかで経理業務を効率化して業務量を削減することができれば、労働時間の削減につながります。従業員の残業が減って生産性が上がるほか、従業員の負担を減らすことにつながります。
ヒューマンエラーを減少させられる
手作業での経理業務を進める場合、気になるのはヒューマンエラーです。
経理では1つの計算ミスがあると関連するすべての書類を見直して数字のミスを見つけなければいけないケースも少なくありません。
作業者がミスをしていないか先輩や上司がダブルチェックするような仕組みでは、ミスは防げても生産性は上がりません。
手作業から業務の自動化を進めることでヒューマンエラーを排除し、ダブルチェックの時間をなくすことでコア業務に集中しやすくなります。
コスト削減が可能
領収書や見積もり書などを紙からデータ保管に移行することで、コスト削減にもつながります。
【紙から電子データ保存に切り替えることで削減できるコスト】
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業務時間が短縮されれば残業時間の削減になり、人件費の削減も可能です。利益を残しやすくなることで健全な経営にもつながります。
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経理業務の効率化を実現するための流れ
経理業務を効率化するには、自社の仕事内容の棚卸しをしたうえで、改善できる場所がないかをくまなく探していくことになります。
ここでは、経理業務を効率化させるための流れについて紹介します。
業務内容を時系列で書き出す
業務改善を進める際には、まず経理部署の業務内容をすべて書き出してみることから始まります。紙にすべて書き出すことで、効率化したい仕事が次々に思い浮かぶこともあります。
仕事内容を「1日」「1週間」「1か月」にわけて時系列で書き出すことで、見直すときに見やすくなるのでおすすめです。仕事の書き出しのヌケ・漏れを防ぐことにもなります。
業務内容の問題点を洗い出す
書き出した業務内容を1つずつ見直し、業務の問題点を書き出してみましょう。書き出す問題は大きなものばかりでなく、「手入力に時間がかかりすぎている」という小さなものでも構いません。
ECRSの原則で業務を見直す
業務内容と、問題点が明らかになったあとは「ECRSの法則」を使って業務内容を見直してみましょう。
ECRSは「イクルス」と呼び、以下の4つの観点から業務を見直す手法のことです。
・排除(Eliminate):作業をなくしても業務に問題ないか
・結合(Combine):複数の作業を1つにまとめられないか ・再配置(Rearrange):作業の順序を変えると効率化できないか ・単純化(Simplify):作業を今より簡単にできないか |
業務内容や問題点を徹底的に書き出してからECRSの法則で業務を見直すことで、改善すべき点が見えやすくなるでしょう。
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まとめ
経理業務はルーティンワークが多く、取引先は関係なしに自社で完結することが多い業務です。ほかの部署と比較して業務改善に取り組みやすく、一度継続できればその後の日次業務や月次業務でずっと改善の効果が持続します。
業務効率化を実現できればヒューマンエラーの削減や人件費の削減など、さまざまなメリットが得られるでしょう。
業務内容をすべて書き出してみて、どのような業務改善が可能か経理課全体で考えてみましょう。