経理代行

経理代行の費用・料金相場とは?業務内容ごとの目安と外注することのメリット・デメリットを解説

経理業務は簿記などの基本的な知識が求められることが多く、未経験の社員が経理部門に配置転換されて、いきなり活躍できるわけではありません。社員の教育が追いつかず、「経理業務を担当できる人材がいない」とお困りの方も多いでしょう。

そこで利用を検討したいのが、経理代行のサービスです。経理に関する業務を外注することで、経理部門の定型業務の負担を大幅に減らせます。しかし、経理代行を利用するとなれば費用面が気がかりになるでしょう。

本記事では、経理代行における業務ごとの料金の相場と、自社に合う経理代行業者を選ぶ際のポイントを解説します。

経理代行(けいりだいこう)とは

経理代行とは、会社を運営していくうえで発生する経理業務の一部または全部を代行するサービスのことです。

代行してもらえる業務は契約内容によってさまざまですが、今回は以下の3つをメインに解説します。

代行業務 特徴
記帳代行 事業の取引内容を会計ソフトに記帳する業務の代行
給与計算の代行 社員の給与計算業務の代行を行う
決算代行 決算整理仕訳の作成や、資料の整合性の確認など

経理代行に依頼する内容によって、費用感は全く異なります。まず、どの業務を代行してもらうかの「業務範囲」を明らかにすることが大切です。

業務の範囲を定めるには、まず経理業務の棚卸しを行うことになります。業務をリストアップして社員ごとの担当を明らかにしてみて、社員1人の負担が大きい部分を洗い出していきます。

自社でやるべき作業と外注したい業務が明確になることで、相場からある程度の費用感を掴めるようになるでしょう。

【依頼する業務別】経理代行を依頼する際の費用相場

ひとくちに「経理代行」といっても、業務範囲によって費用相場は全く異なります。ここでは、「記帳代行」「給与計算代行」「決算代行」の3つの業務について、一般的な費用・料金の相場について紹介します。

記帳代行の料金相場

記帳代行は請求書や経費の精算、固定資産の登録といった取引について、複式簿記によって仕訳をして会計帳簿の作成をするサービスです。

記帳代行は「仕訳1つ」あたりの従量制の料金が設定されていることが多く、一般的には1仕訳につき「50~100円」が相場です。

  • 月100仕訳:5,000円~10,000円程度
  • 月500仕訳:月25,000円~50,000円程度

また、100仕訳単位などで月額料金を設定している業者もあります。

スタートアップ企業など、月の仕訳数が100~200程度であれば、かかる費用は5,000円~20,000円程度で済む計算です。

給与計算代行の料金相場

給与計算代行は、企業で働く従業員の給与計算を代行しておこなうサービスです。従業員の出退勤データを精査し、残業代や差し引く社会保険料などを含めて支給額を計算する業務を依頼することができます。

また、オプションによっては、年末調整の代行も依頼できます。

給与計算の相場は従業員1人につき1,000~3,000円です。年末調整をオプションで頼む場合は追加で500~2,000円と業者ごとに相場観に差が生じます。

代行業者によっては初期費用として上記以外に追加費用が発生する可能性があるので注意しましょう。

決算代行の料金相場

決算代行は、日々の経理業務をもとに決算書を作成したり、法人税を申告したりといった決算関連業務を依頼できるサービスです。決算代行の業務内容を分類すると、大きくわけて以下の2つがあります。

  • 決算書の作成業務
  • 決算書の作成で確定した結果をもとに法人税の納税額を計算する申告業務

依頼する範囲によっても料金相場は異なりますが、一般的には決算1件につき10~20万円くらいが相場といわれています。

なお、申告書類の提出まで依頼すると15~30万円程度が相場になることが多いようです。

また、依頼する側の企業規模や売上の規模感などによっても見積額が変動する可能性があります。

経理代行の相談先の候補3選

経理代行を依頼する業者として、主に以下の3つの候補があります。

  • 税理士事務所
  • 会計事務所
  • アウトソーシング事務所

ここではそれぞれの強みや特徴について解説します。

税理士事務所

税理士事務所は、経理や決算、確定申告の専門家である税理士が運営する事務所のことです。

税務申告や相談が本来の業務であることから経理代行を提供している事務所は決して多くありませんが、もし依頼できる場合には税理士がいることによって正確性の高い経理が期待できます

税理士によるコンサルティングが受けられることや、記帳代行だけでなく、税務、決算まですべての業務を依頼できる点もメリットです。

会計事務所

会計事務所は、ここでは公認会計士が運営している事務所を指すものとして説明します。税理士事務所とは異なり、大手企業や上場企業の専門的な業務を扱っています。

税務に関するアドバイスは会計事務所に在籍する税理士が行うことになります。

本格的な経営のアドバイスやM&Aなどにも対応していることから主に利用できるのが大企業にはなり、スタートアップや中小企業の候補には入らないことが多いです。一方、経理代行会社を別で持っている場合には税理士事務所と同様の経理代行を受け付けてくれる場合があります。

アウトソーシング事務所

アウトソーシング事務所は、経理に特化した企業のことで「経理代行会社」とも呼ばれます。

経理の経験者や会計事務所の元社員など経理のスペシャリストが多く在籍しており、経理処理に関してハイレベルな対応が期待できます。依頼できる内容は細かく指定できて基本料金のほかにオプションも豊富です。

税理士事務所や会計事務所よりも経理代行の費用が安い傾向にあることがメリットです。

ただし、税理士資格を持つ社員が在籍していない場合には、依頼できる内容が記帳代行などに限定されてしまうデメリットがあります。

経理代行会社を選ぶ際のポイント

ひとくちに経理代行会社といっても、対応している経理代行の業務内容や費用感はさまざまです。経理代行を利用して自社の業務負担を減らすためには、自社の目的に合うサービスを提供する代行会社を選ぶことが大切です。

ここでは、代行会社を選ぶためのポイントとして、以下の4つを紹介します。

  • 依頼したい代行業務に対応しているか
  • 料金とサービス内容が見合っているか
  • セキュリティ対策は万全か
  • 自社の規模に合っているか

依頼したい代行業務に対応しているか

大前提として、依頼したい内容に対応していない経理代行業者は選ぶことができません

経理代行業者のホームページなどでサービス内容の詳細を確認し、自社の目的やニーズを満たせることを最初に確認しましょう。

また、「サービス内容に余分な部分があって、そこのコストが高い」といった場合は、必要十分なサービスのみを提供してくれる業者を探しましょう。

提供されているサービスと自社で必要としている代行業務を比較することで、自社が本当に求めているサービス内容をあらためて確認する機会にもなります。

料金とサービス内容が見合っているか

経理代行業者に外注する際、特に重要になるのが費用とサービス内容が見合っているか(コストパフォーマンス)です。

経理代行の業者に業務を外注する目的は経理業務の効率化、合理化ですが、メリットを上回る費用がかかると事業運営に悪影響になる可能性があります。

複数の経理代行業者の料金体系を比較し、自社の予算に合うサービスを見つけましょう。

セキュリティ対策は万全か

費用感と並んで、「セキュリティ対策」は経理代行業者を選ぶ際にもっとも重要な要素です。

経理代行を利用するということは自社の機密情報や顧客情報、従業員の個人情報を外部に提供することになります。

情報漏えいのリスクが高まることになるため、「顧客の情報を厳格に管理・保護しているか」という点は依頼前に必ず確認しましょう。

依頼前に「具体的なセキュリティ対策の手法」「秘密保持契約を締結できるか」といった内容を確認しましょう。

自社の規模に合っているか

経理代行業者で提供されているサービスが、自社の規模感や業種と異なる場合は依頼する候補からは外れることになります。自社がいま必要としているサービスを提供している業者であることが、依頼をかける最低条件です。

また、自社の規模は将来的に変わる可能性もあるため、将来まで見越した費用感とサービスを確認することが大切です。自社が成長したあとも末永く利用できるサービスを低コストで提供してくれる経理代行業者が候補になるでしょう。

まとめ

経理代行サービスの費用相場は、依頼する業務内容や専門家が在籍しているか否か、依頼する側の企業の売上規模などによっても変動します。一般的には以下のような料金体系になっているため、自社の経理業務をアウトソーシングする際の費用感は参考にしてみてください。

  • 記帳代行:1仕訳につき50~100円程度
  • 給与計算代行:従業員1人につき1,000~3,000円程度
  • 決算業務代行:決算1件につき10~20万円程度

ただし、実際の料金やサービス内容は経理代行業者ごとに異なります。費用感が自社と合うのか、代行サービスの内容が自社の目的と合致するのかに加え、セキュリティ対策にも注目して外注先を決定していきましょう

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