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起業した直後は社長1人だけ、あるいは少数精鋭で仕事をするケースが多いですが、膨大な経理業務を処理しないといけなくなると本業に集中することが難しくなります。
起業直後の人手不足を解決する手段として検討したいのが「経理業務のアウトソーシング」です。経理業務を外注することにはメリットだけでなくデメリットもあるため、両方を把握したうえで自社に利益のある選択をすることが重要です。
本記事では起業時に必要な経理業務や経理負担を軽減するアウトソーシングのメリット・デメリット、業者の選び方などについて解説します。
Contents
起業時に必要な経理業務とは
起業した直後は取引先が少ないかもしれませんが、経理を専門とする社員が少ないこともあって経理業務の負担は大きいと考えられます。
起業時に必要になる経理業務は主に以下の2つです。
開業届・青色申告の申請
起業をする場合、まず行うべき手続きとして「開業届」の提出があります。通常は開業日から1か月以内におこなう必要があります。
個人事業主の場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出しますが、法人の設立時には「法人設立届出書」を提出することになります。
また、税金の計算を有利にするための「青色申告の申請」は、開業年の3月15日まで、もしくは事業開始から2か月以内が期限です。
法人が青色申告の適用を受けるには原則、法人設立の3か月以内に青色申告承認申請書を提出します。
また、法人の場合は登記や定款の作成も必要であり、税務署のほかにも都道府県税事務所や市区町村への届出なども求められます。
会計帳簿の作成
事業運営のなかで、経理業務の中心になるのが「会計帳簿」の作成です。仕訳帳、総勘定元帳、収支計算書などを、事業の仕入れや売上などに連動させる形で作成していきます。
上記のような日々の記帳に加えて、領収書や請求書の保管も重要な業務です。これらの書類は経費や売上の証拠になる書類であり、税務署からの調査時に提示を求められることから決められた期限での保管が必要です。
領収書は日付や金額、用途などを記載したうえで7年間の保管が求められます。
起業時の経理負担を軽減する方法
起業時は人手が不足している会社が多く、社長1人で営業から販売、発送、経理まですべて行っているケースも少なくありません。経理業務に時間を取られると、売上を作るという本来の仕事に使える時間が少なくなってしまいます。
そこで検討したいのが「経理負担の軽減策」です。主に考えられる負担軽減策としては「クラウド会計ソフトの利用」「経理代行サービスの利用」があります。
クラウド会計ソフトを活用する
クラウド会計ソフトを活用することで、経理業務の負担を軽減できる場合があります。
たとえば銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連動することで取引データが自動的に仕訳され、手動入力の手間を減らしつつ仕訳ができます。
また、領収書をスマートフォンで撮影することでデジタル化でき、即座に会計業務に反映することも可能です。
ただし、業務のすべてを丸投げできるわけではないため、経理業務を可能な限りプロに任せたい場合には経理代行サービスを活用することも検討する必要があります。
経理代行サービス(アウトソーシング)を利用する
経理業務の負担を完全になくしたい場合、経理代行(アウトソーシング)も検討しましょう。
アウトソーシングを利用すると日々の記帳や給与計算、決算業務、さらには請求書の発行や売掛金の管理にいたるまであらゆる経理業務を専門家に任せることができ、社長や社員はほとんど経理業務に触れずにほかの仕事に集中できます。
プロに任せることで業務時間の削減に加え、ミスが発生してクレームにつながるリスクを低減させることも可能です。
経理アウトソーシングと記帳代行の違い
経理のアウトソーシングと似たサービスに「記帳代行」がありますが、これらは以下のような違いがあります。
経理のアウトソーシング | ・記帳代行よりも広い範囲をカバーする ・対応業務は記帳代行だけでなく、請求書の発行、取引先への支払いや売掛金の回収のための催促、決算書作成など、経理業務のあらゆる仕事を委託できる ・どの業務に対応できるかは業者によって異なるため、業務範囲の確認は事前に必要 |
記帳代行 | ・記帳業務に特化したサービス ・通帳のコピーや領収書、請求書など取引の内容がわかる資料を提示することで帳簿の作成をしてくれる ・試算表や総勘定元帳の作成までが業務 |
経理のアウトソーシングというサービス名でも、実際には記帳代行と業務範囲がさほど変わらないケースもあるかもしれません。
経理のアウトソーシングへの依頼を検討する場合、自社が外注したい経理業務をすべてカバーしているかは事前に確認が必要です。
起業時に経理をアウトソーシングするメリット
起業時に経理をアウトソーシングすることで得られるメリットは、人手不足の解消と限られたリソースの有効活用です。
経理のアウトソーシングを利用することで毎日・毎週・毎月の経理業務を委託することができ、社長や社員は営業や販売など売り上げに直結する仕事に集中できます。
また、経理のアウトソーシングは必要なときだけ短期間の契約も可能です。「経理担当者が急に退職した」「経理担当者を採用するまでのつなぎで外注したい」など、短期間の依頼にも柔軟に対応してくれるでしょう。
また、経理のアウトソーシングは最新の税制に準拠した対応をしてくれる点もメリットです。近年はインボイス制度や電子帳簿保存法などいくつか重要な法改正があり、企業は順次対応する義務があります。
経理の専門家であるアウトソーシング業者に委託することで、最新の法律に対応してくれるので安心です。
起業時に経理をアウトソーシングするデメリット
起業時に経理をアウトソーシングすることのデメリットは、自社の経理担当者を育てることができない点です。
本来は自社の経理を任せられる社員を雇って教育しながら長期的に働いてもらうことが理想ですが、経理アウトソーシングを利用すると自社の社員を育てることができません。
いずれ会社が大きくなったときに正式に経理部門を設置したいと思っても、実務経験のあるベテラン社員がいないと難しいでしょう。自社の社員を育成したいなら外注を一部のみにしたり、社員の成長によってアウトソーシングする業務を減らしたりといった対応が求められます。
また、当然ながらアウトソーシングには外注費用もかかります。依頼内容や業務範囲にもよりますが、社員を雇っていたときよりも高額なコスト負担が発生する可能性もあります。
経理をアウトソーシングすることで生まれる時間で営業やマーケティングができるメリットと比較し、どちらがコスト面で有利なのか慎重に検討しましょう。
まとめ
起業したときは社長1人、または少数精鋭で仕事を進めることが少なくありません。経理に時間を割かれてしまうと、営業や販売、発送などの仕事ができずに会社の業績に影響する可能性があります。
経理負担を減らすにはクラウド会計ソフトの導入も有効ですが、会計ソフトを使って自社の人間が経理業務をする手間はどうしても残ります。
経理関係から手を離して仕事に集中したい場合には、経理のアウトソーシングを利用することも検討しましょう。ただし、外注費用がかかるというデメリットもあるため、外注によって増える売上と比較してメリットがあるかを慎重に検討することが重要です。