「督促と催促の違いって何?」上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。督促と催促って、何が違うのか分かりづらいですよね…
本記事では、督促と催促の違いをわかりやすく解説しているほか、督促や催促の書類が送られてくるタイミングや、督促や催促された際の対処法なども解説しています。
本記事を読むことで、督促と催促の違いを把握でき、督促や催促の書類がきた際も冷静に対処できるようになるでしょう。ぜひとも参考にしていただけたら幸いです。
Contents
督促と催促の違いは「強制力」
督促と催促の違いは、一言で表すと「強制力」です。どちらも「急かす」といった意味では一緒ですが、催促はカジュアルよりに使われます。例えば、催促はビジネスで使われるのはもちろんのこと、友人間や家族間でも使われるでしょう。
一方、督促はより強制力が強くなるのが特徴的です。なぜなら、督促は「法的手段を実行せざるを得ない可能性がある」といったニュアンスが含まれているからです。
ただし、督促自体に法的な効力はありません。あくまで、「このままだと、法的な手段を使わせていただきます」といった事前通知に過ぎません。また、督促は支払いの遅延(入金の遅れ)で使われる場合がほとんどです。
「督促状」と「催告書」の違い
「督促状」と「催告書」の違いも、強制力です。支払期日を過ぎても入金がされない際は、督促状や催促状を送付します。
督促状や催促状を送っても反応が無い場合に、「催告書」が送付されるのです。催告書は「内容証明郵便」で送るため、支払期限を延ばしたり、裁判の証拠になったりします。
よって、内容証明郵便を送ることにより、「法的手段を取る準備が整う=法的手段実行前の最終通告」と解釈できます。内容証明郵便は、送付に関わる全ての記録が残る(内容を証明できる)ため、送られた方は「受け取っていない」と言い逃れできません。
督促と催促より強制力が強いのが「支払督促」
督促や催促を使っても支払ってくれなかったり、連絡が一切なかったりする場合、法的手段として「支払督促」を利用します。
支払督促を利用することで、「裁判所を経由」して支払督促の書類が債務者に送付されます。
つまり、支払督促は法的強制力を持った上で債務者からお金を回収できる制度です。支払督促の細かい仕組みについては、後述で詳しく解説しています。
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【ケース別】督促状や催告書が送られてくるタイミング
ここからは、督促状や催告書が送られてくるタイミングをケース別に解説していきます。
- ビジネスの場合
- 個人の借金の場合
- 税金の場合
一つずつ見ていきましょう。
1.ビジネスの場合
ビジネスの場合、基本的に「売掛金の代金を延滞」しているとき、督促状や催告書が送られてきます。ただ、最初は電話やメールでの催促が一般的です。
催促をされても支払わない、返答をしないなどの対応を取ると、督促状が送られてきます(基本的に催促をしてから1週間後)。督促状を送っても状況が変わらないのであれば、催告書を送って法的手続きを行う準備に入ります。
2.個人の借金の場合
個人の借金の場合、借りていたお金を返済せず(期日を過ぎている)、催促も無視していると、賃金業者(金融機関など)から督促状が送られてきます。
その後何通か督促状が送られてきますが、無視をしたり返済しないでいたりすると、賃金業者は裁判所に支払督促を送付し、強制執行の手続きに入ります。
仮に賃金業者の言い分が裁判所に認められると、給与や預貯金、車や自宅などの財産を差し押さえられてしまうのです。
3.税金の場合
督促状は、税金を滞納している場合にも国や行政から送られてきます(個人の税金や法人の税金問わず)。
なお、国や行政のケースでは、一度の督促状で「支払う意思がない」と判断されると、そのまま法的手段を取られることもあるので留意しましょう。
また法人だと、税金の滞納は「延滞税」がかかり、余計なお金を支払う羽目になります。
引用元:No.9205 延滞税について|国税庁 (nta.go.jp)
なお、国税の場合「督促状を送付してから10日以降」経つと、いつでも差し押さえを実施できます(法人に対して)。
差し押さえ以外にも税金を滞納することにより、税務調査が入る確率が高くなったり、社会的な信用が下がったり、融資が受けにくくなったりと多くのデメリットが連鎖的に発生するのです。
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督促状や催告書を無視し続けると「法的手段」を取られる
督促状や催告書を無視し続けると、最終的には「法的手段」を取られてしまいます。法的手段が実行されると、自宅や土地、車なども売却されてしまい、ほかには高価な物(絵画など)が強制的に売却される恐れも。
債務者目線で見た場合、差し押さえは事前に日程の指定なく突然行われるため、いつが実行日なのか明確に分かりません。突然の事態を回避するためにも、督促状や催告書は無視しない方が賢明でしょう。無視したリスクの方が断然高いです。
支払督促の仕組み
実行者 | 内容 |
申立人(債権者) | 申立書に必要事項を記入。相手側の住所地の簡易裁判所に提出(申立書は裁判所ホームページからダウンロード可能) |
簡易裁判所の書記官 | 申立書を審査し、認められれば支払督促を発行して相手側に送付(申立人にも通知の文書が届く) |
相手側 | 相手側が支払いを行った時点で、紛争は解決します。なお、相手側は異議を申し立てることができ、異議を申し立てると民事訴訟に移行します。 |
申立人(債権者)・簡易裁判所の書記官 | 相手側が異議を申し立てなかった場合、強制執行のための手続きを行います。具体的には、仮執行宣言申立書を裁判所に提出。裁判所は、仮執行宣言申込書を相手側に送付します。 |
相手側 | 相手側が支払った時点で紛争は解決しますが、異議を申し立てると民事訴訟に移行します。 |
申立人(債権者) | 相手側が異議の申し立てをしなかった場合、申立人は強制執行の申し立てができるようになり、強制執行・未払い金の回収が実行されます。 |
参考:簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
督促状や催告書が届いたときはどうすればいい?
督促状や催告書が届いたときの対応として、下記の3つが挙げられます。
- すぐに支払う
- 支払えないことを連絡する
- 弁護士に相談する
一つずつ簡潔に解説していきましょう。
1.すぐに支払う
督促状や催告書が届いたときの対処法として、ベストなのが「すぐに支払う」ことです。期限をできるだけ伸ばさずに支払いを終え、問題を大きくしないことが大切です。
支払いが遅くなればなるほど、延滞料が発生する可能性もあります。また、法人だと取引を打ち切られる恐れも。手元に資金がある場合は、すぐに支払うのが無難で安全な選択でしょう。
2.支払えないことを連絡する
督促状や催告書がきても支払うお金がない場合、相手側へ正直に事情を話すことが欠かせません。無視することは、人としても会社としても最悪の対応です。
また連絡する際は、支払う意思があることをアピールしましょう。正直に相談して支払う意思があることを伝えれば、分割払いや支払日の延長を向こうから提案してきてくれるかもしれません。
3.弁護士に相談する
すぐに払えるお金がなく、相手とも条件が折り合わなければ、弁護士に相談しましょう。弁護士に相談することで、その人や会社に合った提案をしてくれます。また、サポートもしてくれるでしょう。
弁護士が介入することで、スムーズに解決する可能性もあります。支払えない旨を連絡するのが億劫なときも、弁護士に相談してみるのがおすすめです。
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身に覚えのない督促状や催促状には注意しよう
架空の督促状や催促状を送ってくる悪徳業者もいます。督促状や催促状が送られてきた際は、内容をキチンと確認することが大切です。
内容を確認して身に覚えがない場合は、冷静な判断を心掛けましょう。過去の支払い状況や返済忘れをチェックしても心あたりがなければ、無視するのが得策です。
やってはいけないのは、記載されている電話番号に電話したり、すぐにお金を支払ったりすることです。詐欺に引っかからないためには、督促状や催促状がきても冷静に判断することが欠かせません。
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まとめ
本記事では、督促と催促の違いをわかりやすく解説しているほか、督促や催促の書類が送られてくるタイミングや、督促や催促された際の対処法なども解説しました。督促と催促の違いは「強制力」です。
督促 | 法的手段を使うことを示唆する |
催促 | 法的手段を使うことを示唆しない |
ただし、督促自体に法的な強制力はありません。法的手段を実行する場合は、「支払督促」が送付されてきます。その前段階で、「催告書」が送られてくる可能性もあるので留意しておきましょう。
たとえ、督促状や催告書が送られてきて支払えないとしても、その旨を電話で伝えることが重要です。無視は絶対にしてはいけません。
伝えることが難しかったり、双方で折り合いがつかなかったりする場合は、弁護士に相談するのが望ましいでしょう。