「証憑の意味がよく分からない…」
「そもそも証憑の定義は?」
「経理なのに証憑を理解できていない…」
上記のような疑問や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。本記事では、証憑の意味や定義のほか、保存期間や電子帳簿保存についても解説しています。
本記事を読むことで、証憑を正しく理解できることでしょう。ぜひとも参考にしていただけたら幸いです。
証憑とは?
証憑(しょうひょう)とは、取引の事実を証明する書類のことを指します。「行った記録を証明する」正確な書類とも言えるでしょう。
例えば、請求書や領収書・契約書などが挙げられます。証憑は正確性を証明する大切な書類であるがゆえに、税法や会社法で一定年数の保管が義務づけられています。
また、会計処理をこなす上では、証憑がエビデンスとなり、会計の正しさを担保してくれるのです。
「証憑」と「証票」の違い
証憑は「証拠」を示すものであるのに対し、証票は「ある特定の事実を証明するための証明書」のようなものです。
証憑は社外取引や社内従業員との契約など、すべての事実を証明する証拠となります。一方、証票は免許証など特定の事柄を証明するための証拠です。
「証憑」と「領収書」の違い
領収書は証憑であり、証憑と領収書に違いという概念はありません。領収書は証憑として扱うので、正確性や真実性の証明書類となります。
ちなみに、領収書は経費計上でもっとも使われる証憑でもあります。正当性を証明するため、日付や宛名の漏れは必ずチェックし、漏れがあれば可能な限り相手先に追記をお願いするようにしましょう。
なお、5万円以上の領収書は収入印紙が必要なので、収入印紙の有無もチェックしておきましょう。また、レシートも領収書と同様で証憑として扱えます。
証憑書類とは?
証憑書類とは、取引が成立したことを示す書類です。つまり「お互いが確認して取引が完了=取引が間違っていないことの証明」を示しています。
意味自体は証憑と変わりありません。よって、証憑書類を略して「証憑」と表記したり、呼んだりすることもあります。
経理などの会計処理は、事実をもとに処理しなくてはなりません。証憑は取引の正確性を証明するものなので、経理は証憑をもとに会社の数字を作り上げていくのです。
最終的には証憑書類をベースにして、貸借対照表や損益計算書、決算申告書などが作成されます。
証憑台紙とは?
証憑台紙(しょうひょうだいし)とは、証憑書類を貼り付けて保存するための台紙のことを指します。
証憑台紙を活用することで、証憑が見やすいかつファイリングしやすくなるメリットがあります。また、証憑の確認や伝票入力もスムーズに行えるでしょう。
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主な証憑書類
主な証憑書類は下記の3つです。
- お金関連(売上・仕入など)
- 労働関連
- 契約関連
1つずつ見ていきましょう。
お金関連(売上・仕入など)
売上・仕入に関する証憑書類として、下記のものが挙げられます。
売上に関連する証憑書類
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仕入に関連する証憑書類
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労働関連
社内の従業員に関する証憑書類として、下記のものが挙げられます。
社内の従業員に関連する証憑書類
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契約関連
契約関連の証憑書類として、下記のものが挙げられます。
契約関連の証憑書類
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経理における証憑書類の保存期間
経理における証憑書類の保存期間は、法人と個人事業主で異なってきます。法人のケース・個人事業主のケースをそれぞれ解説していきましょう。
法人の場合
法人は「法人税法」・「会社法」と2通りの保存期間が定められており、それぞれ保存期間や保存書類が異なってきます。
※青色申告を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度だと9年間) 参照元:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁 (nta.go.jp)
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法人税法
保存書類 | 保存書類(内訳) | 保存期間 |
帳簿 | 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など | 7年(欠損金の繰越がある場合は10年or 9年) |
書類 | 棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書など |
参照元:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁 (nta.go.jp)
会社法
保存書類 | 保存書類(内訳) | 保存期間 |
会計帳簿・計算書類(付属書類) | 貸借対照表、損益計算書、総勘定元帳、売掛金元帳、買掛金元帳、売上帳、仕入帳、付属明細書、現金出納帳など | 10年 |
会社法に定めのない書類 | 請求書、領収書、注文書、契約書、見積書など | 7年(税法が定める期間) |
例えば、仕入帳や売上帳は法人税法では保存期間が7年と定められています。しかし、会社法では保存期間が10年に該当し、ややこしいです。そういったこともあり、保存期間を全て「10年」にしている法人も少なくありません。
個人事業主の場合
個人事業主は所得税法に該当するため、法人とは保存書類や保存期間が異なります。
また、個人事業主でも「青色申告」・「白色申告」のどちらかで内容が変わるのが特徴的です。
青色申告
引用元:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁 (nta.go.jp)
白色申告
引用元:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁 (nta.go.jp)
電子帳簿保存法を活用すれば電子で保存できる!
電子帳簿保存法とは、証憑書類などを電子データで保存できる法律です。従来は紙での保存が義務づけられていましたが、電子帳簿保存法を利用することにより、紙で保存する必要がありません。
最初に施行されたのは1998年であり、2016年の改正では、スマホなどで撮影した領収書なども電子データとして保存できるようになりました。
なお、電子での保存方法は3種類あります。
- 電子取引
- 電子帳簿、電子書類
- スキャナ保存
参照元:電子帳簿・電子書類関係|国税庁 (nta.go.jp)
なお、電子帳簿保存法を適用するには、国税庁に用紙を送付しなければなりません。
[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出|国税庁 (nta.go.jp)
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まとめ
本記事では、証憑の意味や定義のほか、保存期間や電子帳簿保存についても解説しました。
証憑とは、取引の事実を証明する書類のことであり、会社の会計処理や揉めたときの証拠に欠かせない重要な書類です。
会計処理は、「正しい証明ができる書類=証憑書類」をもとに計算をしていき、最終的には貸借対照表や損益計算書、決算申告書につながります。
証憑は大切な書類であることを十分に理解し、なくさないよう丁寧に扱うことを心掛けましょう。また、証憑の保存期間に迷う場合は、「10年」保存しておくことをおすすめします。