経理代行

総勘定元帳とは?記載する項目や使用のメリットを紹介

総勘定元帳とは、会社の取引を勘定科目ごとに記録した帳簿です。

総勘定元帳を作成しておくことによって、それぞれの勘定科目の残高や動きを把握でき、

決算書もその流れで同時に作成できます。

しかし、「総勘定元帳の作り方が分からない」という人も多いのではないでしょうか?

総勘定元帳は作成のルールさえ覚えておけば簡単に作成できますし、会計ソフトを使用すれば簡単です。

総勘定元帳の意味や作成方法や目的、その他の帳票との違いについて詳しく解説していきます。

総勘定元帳とは?記帳することでわかること

総勘定元帳とは、会社の全ての取引を勘定科目ごとに記録していく帳票です。

総勘定元帳を記帳することによって勘定科目ごとの取引の発生原因と残高が分かります。

総勘定元帳の作成は法律によって義務付けられているので、必ず作成しなければなりません。

そんな内容を総勘定元帳に記載するべきなのか、また保存期限はどの程度なのか詳しく解説していきます。

勘定科目ごとの発生原因と残高が分かる

総勘定元帳とは勘定科目ごとに会社の全ての取引内容を記載したものです。

具体的には、仕訳帳によって日々の取引を仕訳した内容を、勘定科目ごとに取引の内容を転記して作成します。

例えば、「売上」「現金」などの勘定科目ごとに記録していくため、勘定科目ごとに「今、いくら残高があるのか」「何を原因に増減したのか」を把握できます。

売上や現金がいくらあり、どの程度の増減があったのかについて、日付順に記載した仕訳帳から「売上がいくらだったのか」「現金がいくら増えたのか」を拾ってくるのは非常に大変です。

そのため総勘定元帳を作成することによって、総勘定元帳から勘定科目ごとに残高や増減を把握でき、経営管理に役立てることができます。

法律で記帳義務がある

総勘定元帳は法人税法という法律によって記帳が義務付けられている帳票です。

法人税法には次のような記載があります。

青色申告法人は、すべての取引を借方および貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」と言う)、すべての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)そのほか必要な帳簿を備え、別表二十一に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。

法人税法施行規則の第54条

総勘定元帳は作成することで、企業の会計管理が楽になるなどのメリットがありますが、企業が便宜的に作成しているものではなく、法律によって作成が義務付けられているものであると理解しておきましょう。

また、税務調査が入った時や銀行融資の際には提出を求められるので、しっかりと用意しておいてください。

総勘定元帳に記載する項目とは

総勘定元帳には「標準式」と「残高式」の2つの形式がありますが、一般的には残高が確認できる「残高式」で作成します。

残高式の総勘定元帳に記載する項目は次の通りです。

項目 記載内容
日付欄 取引を行った日付を記入
摘要欄 相手勘定科目
相手が2口以上の時は「諸口」と記載
仕丁欄 リンクする仕訳帳のページ数を記入
借方欄 借方に発生した金額
貸方欄 貸方に発生した金額
借または貸 残高が借方残のときは借、貸方残のときは貸と記入
残高 残高を記入し

総勘定元帳に記載する項目は7つですので、記載漏れや間違いがないようにしておきましょう。

総勘定元帳の保存期間

総勘定元帳の保存期間は7 年と定められています。

確定申告書の保存期間は7年と定められているため、その期間内、確定申告書の記載内容が正しいのか間違っているのかを確認するために、総勘定元帳も保管しておかなければなりません。

なお、誤って総勘定元帳などの帳票を保存年限前に削除してしまった場合には、青色申告が取り消しになるなどの罰則もありうるので、保存期限前に廃棄してしまうことがないようにしてください。

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総勘定元帳を使用する3つのメリット

総勘定元帳を作成することには次の3つのメリットがあります。

  • 勘定科目ごとの残高が管理できる
  • 決算書作成時の間違いの原因を見つけやすい
  • 勘定科目ごとの残高の推移を把握できる

会社内の管理や決算書作成時などに活用できますし、勘定科目ごとに残高がどの程度なのかを把握して経営改善に寄与することが可能です。

総勘定元帳を使用することの3つのメリットについて詳しく解説していきます。

勘定科目ごとの残高が管理できる

総勘定元帳では、勘定科目ごとの残高を管理できます。

勘定科目ごとの動きと残高を把握できるので、例えば「現金が足りない」「先月よりも経費が増えている」などということも一目瞭然に把握できます。

仕訳帳は毎日の取引が日付順に記載されていますが、勘定科目ごとに残高や動きを把握できるわけではないので、特定の勘定科目の動きを知りたい場合や残高を管理したい場合はとても不便です。

総勘定元帳を使用すれば一目で勘定科目ごとの残高や動きを把握できるので、「大きく動いている勘定科目はないか」「削減できる無駄な支出がないか」などの経営管理を非常に簡単に行うことができます。

決算書作成時の間違いの原因を見つけやすい

総勘定元帳は決算書を作成する際に間違えがあった時に「どこが間違っていたのか」という原因を見つけやすいのも大きなメリットです。

例えば、現金の残高が決算書と合わない場合は、総勘定元帳の現金の欄を見れば「売上を多くしすぎたのか」「仕入を過小に記載したのか」などを一目瞭然で知ることができます。

総勘定元帳は勘定科目ごとに動きや残高が整理されているため、「どこが何を原因として間違っていたのか」を非常に簡単に把握できます。

勘定科目ごとの残高の推移を把握できる

総勘定元帳は勘定科目ごとの残高の推移を把握できるのもメリットです。

例えば、売掛金の残高が多くなっており、その理由として直前の売上が増加しているのであれば大きな経営上の問題はありません。

しかし、直前の売上が減少しているにもかかわらず、売掛金残高が増加しているようであれば、取引先の業況が悪化している可能性があります。

このように、総勘定元帳は勘定科目ごとの残高や動きを把握できるので、経営管理に寄与しますし、支出削減などの経営改善にも役立てることができます。

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補助簿とは

補助簿とは主要簿の補助的な役割を担う帳票です。

主要簿は「総勘定元帳」と「仕訳帳」があり、補助簿には次のような帳票があります。

  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 固定資産台帳
  • 売掛金元帳
  • 買掛金元帳
  • 経費帳

それぞれの補助簿の役割や概要について詳しく解説していきます。

現金出納帳

現金出納帳とは、毎日の現金の動きと残高を管理する帳簿です。

会社には毎日さまざまな動きがあるので、帳簿残高と現金の残高が一致しないケースも少なくありません。

そこで、主要簿とは別に現金出納帳を作成し、会社の現金の流れを正確に把握できるようにしておきます。

現金出納帳は主要簿ではありませんが、非常に重要な補助簿として、多くの企業が作成しています。

預金出納帳

預金出納帳とは会社の預金の入出金や残高を管理する帳簿です。

預金の動きも現金と同様に企業にとっては非常に重要ですので、現金の動きとは別に預金の動きを記帳する帳票として預金出納帳も多くの企業が作成しています。

作成方法は現金出納帳と同じですが、複数の口座を保有している場合には、口座ごとに帳票を作成しておくのがよいでしょう。

固定資産台帳

会社の固定資産について適正に減価償却などの会計処理を行うために作成する帳票が固定資産台帳です。

会社には非常に多くの固定資産があるので、資産ごとに取得年月日、取得価額、減価償却累計額、償却年数、帳簿価格などを記載しておかなければ、決算時に適正な減価償却を行うことできません。

そのため、多くの固定資産を抱える企業は作成しておいた方がよいでしょう。

なお固定資産とは次の3つの条件を満たすものを指します。

  • 自社の業務のために使用するために保有している
  • 使用する期間が1年以上
  • 取得価格が一定額以上

売掛金元帳

売掛金元帳とは、企業が保有する売掛金の内訳を売掛先ごとに記載する帳票です。

取引先ごとに売掛金の金額や、発生日、支払期限を記載しておくことによって、請求漏れや二重請求を防ぐことができますし、取引先ごとの支払い状況を管理できます。

売掛先が多い企業は売掛金元帳を作成しておくと非常に便利です。

買掛金元帳

買掛金元帳とは、企業が保有する買掛金の内訳を、買掛先ごとに記載する帳票です。

買掛先ごとに債務発生日や金額や支払期限を記録しておくことで、支払い漏れを防ぐことができますし「いつまでにいくらの支払いが発生する」ということを正確に把握できるので、資金繰り管理にも寄与します。

「毎月多くの取引先への支払いがある」という企業は買掛金元帳を作成しておくとよいでしょう。

経費帳

仕入れ以外の経費を「いつ」「いくら使ったのか」ということを記帳するのが経費帳です。

具体的には運賃・交通費・消耗品費などの経費について記載していきます。

間違えやすい会計処理である経費を管理できるのと同時に、経費の増減について管理できるので、経費削減などの経営管理に大きく寄与できるのがメリットです。

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総勘定元帳の記載方法

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現金で売上があった際の総勘定元帳と仕訳帳について具体的に解説していきます。

10万円の商品を現金で仕入れて、15万円で商品を販売した場合の仕訳帳と総勘定元帳の記帳方法を見ていきましょう。

仕訳帳

取引があったらまずは仕訳帳に仕訳を行い、仕訳帳に記載を行います。

・6月1日、商品の衣類を10万円で仕入れた。

日付 借方 貸方 摘要
6月1日 仕入 10万円 現金 10万円 衣類

・6月10日、仕入れた商品を現金15万円で販売した。

日付 借方 貸方 摘要
6月10日 現金 15万円 売上 15万円 衣類

この際に、仕訳帳で動いた勘定科目は「仕入」「売上」「現金」ですので、総勘定元帳のこれらの勘定科目の口座を開いて、総勘定元帳へ転記を行っていきます。

総勘定元帳:現金

仕入と売上によって現金が動いたため、総勘定元帳へ現金の増減を転記していきます。

日付 相手勘定科目 摘要 借方 貸方 残高
前月より繰越 500,000円
6月1日 仕入 衣類 100,000円 400,000円
6月10日 売上 衣類 150,000円 550,000円

6月1日に仕入を行って現金が100,000円減少し、6月10日に売上によって150,000円が増えたため、前月からの繰越し分と合わせて、6月10日時点で現金の残高は550,000円となっています。

総勘定元帳:売上

6月10日の売上分について、仕訳帳から総勘定元帳に転記を行います。

日付 相手勘定科目 摘要 借方 貸方 残高
前月より繰越 300,000円
6月10日 現金 衣類 150,000円 450,000円

6月10日に現金売上があったため、残高は150,000円増えて、前月からの繰越し分と合わせて残高は450,000円となります。

総勘定元帳:仕入

6月1日の仕入分についても、仕訳帳から総勘定元帳へ転記を行っていきます。

日付 相手勘定科目 摘要 借方 貸方 残高
前月より繰越 200,000円
6月1日 現金 衣類 100,000円 300,000円

6月1日に現金仕入を行ったため、仕入残高は100,000円増えて、前月からの繰越し分と合わせて仕入額の合計は300,000円となります。

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まとめ

総勘定元帳とは、勘定科目ごとの増減を記録した会計帳簿です。

決算書作成時の間違いの原因を知るために有効な帳票であると同時に、勘定科目ごとの管理や経営改善に役立てることができます。

総勘定元帳の作成は法律上の義務で、7年の保管が義務付けられているので必ず作成して保管するようにしてください。

また、作成することによって経営管理にも大いに活用できるので、無駄な経費がないか、削減できる支出はないかなどを慎重に、見極めましょう。

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